山も里も今年も紅葉のシーズンになりどこを見てもきれいな季節になりました。
光太郎は花巻の旧太田村に住んでいる時は、11月は文筆活動で忙しい時期だったようです。
新年号とかの依頼だったのでしょうか。
訪問客も多く、日記や書簡を読むと忙しそうな日々です
温泉のお風呂からは格別だった事でしょう。
「東北の秋」という詩を昭和25年「婦人之友」に載せてます
今日はこれをご紹介します
東北の秋
芭蕉もここまでは来なかった。
南部、津軽のうす暗い北限地帯の
大草原と鑛山(かなやま)つづきが
今では陸羽何々號の稲穂にかはり
紅玉、国光のリンゴ畑にひらかれて、
明るい幾萬町歩が見わたすかぎり、
わけても今年は豊年満作。
三陸沖から日本海まで
ずっとつづいた秋空が
いかにも緯度の高いやうに
少々硬質の透明な純コバルト性に晴れる。
東北の秋は晴れるとなると
ほんとに晴れてまぎれがない。
金の牛こ(べごこ)が抗(あな)の中から
地鳴りをさせて鳴くやうな
秋のひびきが天地にみちる。
筑摩書房高村光太郎全集より
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