2022年4月13日水曜日

山の春

ここ2.3日4月とは思えぬ陽気が続き、一斉に野の花や木々の芽が芽吹きました。

市内はもう桜が満開に近いのですが、ここは里山なので開花が少し遅れます。

その分、野に咲く花はハッと思い立ち止まって見てしまう程可憐で、凛とした強さを感じます。

特にかたくりは枯葉の中から姿を現します。スプリングエフェメラル(春の妖精)なんて素敵な名前が付くほどですね。




光太郎は昭和26年(1951)3月「婦人之友」に掲載された「山の春」という散文の中に

『東北の春のあわただしさは、リンゴ、梅、梨、桜のような、いわゆる春の花の代表が、前後する暇もなく、一時にぱっと開いて、まるで童話劇の舞台にでもいるような気を起させる。』

と書いてます。

一度に花に囲まれる様子、素敵です。まさに北国の特権ですね。

『かたくりのかわいい紫の花が、厚手の葉にかこまれて一草一花、谷地にさき、時として足の踏み場もない程の群落をなして、見事なこともある。』

そんな場所もあったのですね。

現在はそんな森に戻そうと、地元の方々が植えて下さっています。記念館の周りが春足の踏み場もない位、花畑になるといいですね。

『春の霞はさすがに明るく、セリュリアン色の蒔箔のように山々の間にういている。』

セルリアンは空色、現在のセルリアンブルーのようです。晴れた日はかすみが蒔絵のようにに見えたのでしょうか、画家の顔も見せますね。


『ヤマナシの白、コブシの白、ウグイスカグラの白、その白がみなちがう。』

当たり前ですが、詩人、というより、芸術家の光太郎の観察力はすばらしいですね。

こういう感性を持って日々過ごしていたということですね。


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