東北も急ぎ足で春がやってきて、桜はあっという間でした。
野山は色々な植物が芽生えて、日に日に姿を変え、光太郎も春を大いに楽しんだ事でしょう。
さて、昭和21年4月の日記に
「朝食前スルガさんの若夫人、ホロホロコと此の辺で称する花芽の原物とうでたものとを持っ
てきてくれる。ホロホロコといふのはニワトコに似たもの也。」
次の日
「ウコギの花も見える(ホロホロなり)」
(写真は友人宅の庭から採取したウコギの新芽と取った枝です。結構鋭い棘があります。)
ホロホロコと(コ)を付けるのは方言です。かわいい小さいものによく付きますね。
光太郎は、
「山腹にてホロホロの大きな樹を発見、いっぱいついている花蕾を採取、略、ホロホロを熱湯でざっとうで、かつぶしをかけて醤油でくふ、甚だ美味。」
又
「夕方ホロホロの花蕾採取、略、春蘭の花も見つける。略、ホロホロのバタいため、美味。」
など光太郎はホロホロコが気に入ったようですね。光太郎の小屋の前を通って、ワラビなどの山菜を取りに山に入っていく村人が多かったようで、
「老婆からいろんなことをきく、略ホロホロの木は煮て甘皮をはぐと白き材が出て、きれいな箸が出来るといふ。木を10本ばかり持ってゐる。」
確かに木は白いですね
画像はネットからお借りしました
ウコギは、葉の若葉を食べるので、少し苦みがあって、この辺では春の食として欠かせないホロホロと言って熱湯で茹でて、遠くから花が見えるものではありません。棘が鋭いので枝を老婆たちが持って帰るのも違う木のような気がします。光太郎がほろほろと言ってウコギの木と思ったのは、このミツバウツギではないかと思いました。コメノキともいうようです。ウツギと言ってもウツギに似ていてウツギの仲間ではないそうです。
花巻では春の食としてホロホロをたべます。熱湯でさっと茹でて刻み、味噌大根と胡桃のきざみをウコギと和えて、ご飯にかけて楽しみます。少し苦みがありますが、それが山菜の苦みのようでおいしいです。
光太郎が友人に手紙で、ホロホロの蕾の美味しいことを伝えています。そんなホロホロ、同じ味なのか是非食べてみたいですね。これは調べたいものの1つです。
ウコギのような苦みがなく水にさらさなくてもいいようです。今度地元の方に聞いてみようと思います。
春蘭、これも画像はネットからお借りしました。
春蘭は旧記念館の方などに以前は普通に咲いていましたが。展望台などの道路が整備され少なくなったような気がします。余り日の当たらないところにひっそり咲きますね。
光太郎の住んだ場所で同じ植物を見れるのは同じ感動があるようでうれしいことです。
「」は筑波書房高村光太郎全集より。
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