2020年9月12日土曜日

企画展「光太郎とホームスパン」

こんにちは 高村光太郎記念館です

秋の企画展、いよいよ10月5日から当記念館の企画展示室で始まります

今回は、光太郎が大事にしていた智恵子のブランケットの初公開です。

当記念館が現在の場所に引っ越すときに、再確認したものです。

こちら、岩手に住んでいるときには来客に畳んで、座布団代わりに使っていたようです。

度々光太郎の元を訪れた瀬川幸蔵氏は、「イギリスのホームスパンの座布団を出してくれた」と言っておられます。他にも勿体なくて敷けなかった。という方もいらっしゃいます。

後に光太郎が東京でメレの作品展を見に行った時、奥様の智恵子からせがまれて買ったものと聞いた方がいました。楽しいエピソードが残っており、私達も調査するのがワクワクしてきました。(以下の写真は蟻川工房のアトリエの様子です)

ホームスパンを研究なさっている方々に色々な分野から検証していただき、

イギリスのホームスパン作家の「エセルメレ」のものに間違いないだろう、という事がわかってきました。

光太郎はこのブランケットを2度の戦争の空襲から守り、晩年はひざ掛けとして使用している写真があります。

光太郎が、当時太田村山口に住んでいる人々が豊かに暮らせるように、女の人はホームスパン、男の人は陶芸を推奨したいと考えていました。

村には実際にホームスパンをしている人もあり、更にワンランクアップさせるために光太郎は、その道のプロを東和町という所から呼んで村人に見せています。


そして、実際に一人の少女をその先生のもとに通わせ、技術を身に付けさせようとしました。実際にホームスパンで生地を作ってもらい、光太郎が着た「猟人服」というものは、記念館に常設されています。
残念ながら村にはホームスパンが根付かなかったのですが、岩手には現在も沢山の方がホームスパンを作っています。
「蟻川工房」は盛岡にあり、光太郎が村によび、少女にホームスパンの仕事を教えた「福田ハレ」という方のお子息の方が、工房を作り現在は別の方ですが、引き継いで工房を運営なさっています。現在のホームスパンをなさっている方々の多くはここ、蟻川工房で勉強して独立なさっています。

先日お話を伺いに訪問し、撮影したものです。仕事に使う道具すべてが美しく、職人の道具とはこんなに息をしているものだという事を感じました。

「光太郎とホームスパン」10月5日から11月23日までです。紅葉を楽しみながらぜひ足をお運びください。
 

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