みなさんこんにちは
高村光太郎記念館です。
7月になり暑さが増しそうな日々です
記念館から山荘に行く散歩道に、紫陽花が沢山咲く時期になりました。
紫陽花の名所は沢山ありますが、ここも沢山の紫陽花を見ることが出来ます。
種類は多くありませんが、水色、白、赤ときれいに咲きました。
今日は
「若しも(もしも)智恵子が」
の作品をご紹介します
「若しも智恵子が」
若しも智恵子が私といっしょに
岩手の山の原始の息吹に包まれて
いま六月の草木の中のここに居たら、
ゼンマイの綿帽子がもうとれて
キセキレイが井戸に来る山の小屋で
ことしの夏がこれから始まる
洋々とした季節の朝のここに居たら、
智恵子はこの三畳敷でめをさまし、
両手を押して吹き入るオゾンに身うちを洗い、
やっぱり二十代のの声をあげて
十本一本のマッチをわらい、
杉の枯葉に火をつけて
囲炉裏の鍋でうまい茶粥を煮るでしょう。
畑の絹さやえん豆をもぎってきて
サファイヤ色の朝の食事に興じるでしょう。
若しも智恵子がここに居たら、
奥州南部の山の中の一軒家が
たちまち真空管の機構となって
無数の強いエレクトロンを飛ばすでしょう。
昭和24年6月発行「婦人画報」に発表
「もしも」が「若しも」に変わる
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