2020年6月2日火曜日

詩 「雲」

皆さんこんにちは
高村光太郎記念館です
光太郎がここ、太田村に住んで初めての初夏、
こんな気持ちのいい景色が広がっていた事でしょう
昭和21年は作品が少ないのですが、6月14日に
「雲」という詩を発表しています。
今日はこの詩をご紹介します。

    雲

あの雲を見たまえ。
地面からたつ水蒸気の冷えてできた。
小さな、小さな水玉の集団があの雲だ。
大空のあそこからあそこからあそこまで、
なんという大きなかたまりだろう。
見ているうちに形をかえて
ぐんぐんと進んでゆく
太陽に色どられた空中のパレット。
光とかげとの運動会。
雲には雲の規律があり、
山にかかる形や位置まで
ちゃんと天気の予報をする。
小さな、小さな水玉が
あんな大きな力を出す。
あの雲を見たまえ。
雲はいいなあ。
おもしろいなあ。



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