2019年11月11日月曜日

美しき落葉

 みなさんこんにちは
高村光太郎記念館です。
紅葉も大詰め?を迎えた感じです。
今年は暖かいせいか、葉がまだ落ちずにいる樹木がたくさんあります
2度の台風にも耐えた木が綺麗に紅葉をはじめました。
 紅葉には日光が大事ですよね。
ここ記念館の敷地も日の当たり方で紅葉の具合が一定ではありませんが、
今年はどこを見てもきれいです
 写真では伝わりにくいのですが、光太郎の詩を読みながら
秋の気分に浸っていただきたいです

 美しき落葉

私は交番の前で落ち葉を拾った
鈴懸木の大きな落葉だ。
軸を持って日にすかすと、
金色と緑青とが半々に
この少しちぢれた羽団扇を染め分ける。
私は落葉が何でも好きだ。
落葉はいつでもたっぷりあって温かで
さらさらしてゐて執著はなく、
風が吹けば飛び、
いつのまにか又いちめんに積み重なって
秋の日をいっぱいに浴びてゐる。
落葉の匂ひは故国の匂ひ、
わけて落葉を焚く青い煙の親しさよ。
ああ林間に紅葉を焚いて酒を暖めた。
昔の人のゆかしさよ。
今あたたむる酒はなくとも、
人よ、君の庭に積む阿知波焚いて
君が家庭農園の加里をえたまへ。
私は拾った鈴懸木の一枚の葉を
如何に木で彫らうかと考へてゐる

昭和19年9月18日作。
「近代三題」の二


光太郎はこの紅葉を手に取るように詩を書いてますね。